こんにちは。ぎなん皮ふ科クリニック 院長 伊藤秀明です。
皆様は皮膚科の病気で緊急性が高い病気にはどんなものがあると思われますか?
本日はアレルギーの一つで、ショック症状などを引き起こすと命にかかわることもあるアナフィラキシーについてお話ししたいと思います。
アナフィラキシーはT型(即時型)アレルギーの一種で、アレルギーの原因物質(アレルゲン)にさらされた後に蕁麻疹などの皮膚症状・呼吸困難・血圧低下・意識障害などが短い時間に出現するものです。
アレルゲンにはそばや小麦、魚などに代表される食物とハチに代表される昆虫、薬や造影剤などの医薬品、ゴムに含まれるラテックスなど色々なものがあります。
特定の食物摂取後に口腔内の痒みやぴりぴりした刺激感、咽喉頭の違和感などが出現し重症例だとアナフィラキシー症状となる口腔アレルギー症候群という病気があるのですが、先日学会に参加した際にはハンノキやシラカバの花粉アレルギーの方がリンゴやモモなどを摂取して起こる症例が思っている以上に多いことが話題となっていました。
現在、日本では小学生の0.6%(167人に1人)、中学生で0.4%(250人に1人)の割合でアナフィラキシーの既往歴のある生徒さんがいらっしゃるといわれています。また、食物アレルギーによるアナフィラキシーによって死に至る確率は0歳〜19歳では10万人当たり3.25人もいることが報告されています。親御さんからすると、お子さんが育っていくための食事・食べ物によって命を奪われることなど想像したくもないと思います。
アナフィラキシーを起こさないようにするにはとにかくアレルゲンにさらされないことしかありません。ですが、食物であればいくら気を付けても他の食品に付着していたり、お子様であれば登下校中にハチに刺されたりなど偶発的にアレルゲンにさらされてしまうこともあり得ます。
万が一、アレルゲンにさらされてしまいアナフィラキシー症状が出現してしまうと早く治療を受けないと最悪死に至ることがあります。
ではすぐに病院へ行けるのか?救急車が来て病院へ搬送するとしても少なくとも10分とかそれ以上かかるでしょう。その前に呼吸が止まってしまったら?意識がなくなってしまったら?
実は、最近テレビなどでも話題に出ることがありますが、医療機関で治療を受けるまで症状を一時的に緩和し、ショックを予防する注射があります。
『エピペン』です。
現在、『アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人』に対しては『エピペン』を処方し、携行していただくことが保険で認められています。ただし、医師の診断とどのような症状のときにどうやって使用するのかなどご本人だけでなくご家族などの周囲の方にもしっかり説明して理解いただく必要があります。エピペンの処方はエピペンの適正使用について講習を受けた限られた医師の在籍する医療機関でしか受けられません。
こちらで調べることが可能です。
(ぎなん皮ふ科クリニックはまだ登録されていません。愛知県の知多厚生病院で患者様に処方しなければならないのでH29年3月まではそちらで登録されています。H29年4月以降にぎなん皮ふ科クリニックも登録していただく予定です。)
アナフィラキシーは一般的にアレルゲンにさらされるたびに症状がひどく出るようになります。食事をとった後に蕁麻疹が出て息苦しくなった・気持ち悪くなったことがある方やハチに刺された後に調子悪くなったことがある方はその時は幸い症状が軽かっただけで実はアナフィラキシーだった可能性もありますので心配な方はまず医師の診察を受けることをお勧めします。
ぎなん皮ふ科クリニックは皮膚アレルギー疾患について羽島郡で唯一の皮膚科専門医のいるクリニックとして地域の皆様、特にアレルギーのお子様の親御さんや学校関係の方に適正な情報をお伝えしてまいりたいと考えています。
posted by ぎなんMS at 00:00|
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